「人生が楽になる 超シンプルなさとり方(エックハルトトール著、飯田史彦訳。徳間書店)」の感想ないし考察です。
「無意識状態から抜け出そう(4章)」
まず述べられているのは「思考と感情を観察する事」となります。苦しみを取り除く方法としてもまずそれをきちんと観察する事から始めて、何が自分に対して不安や不満を芽生えさせているか見極めようとも書かれています。
これは実際にやってみた方が効果を体感しやすく、思考と感情を観る事で一歩引いた立場から冷静にいられますし、不安があるならなぜ不安があるのか観察してみる方が結果として楽です。やりがちなのが「不安があるからとにかくそれを解消しよう、明るくいよう」という無理なポジティブで、これをするのは単に自分の気持ちを誤魔化しているだけで楽になりませんし解決策も降りてきません。まず自分の気持ちに正直になる事から始めてみるのは、シンプルなようで強力です。
特に過去の感情が強く動かされた出来事は何度も思考に湧き上がってきますが、そういった思考に批判や分析、決めつけもせずただ観察する事は結果として「今に在る」状態になります。まあ、そもそも私たちは全員今に在る状態なんですが(過去や未来を思い出してあれこれ考えていても、それは”今”している事だから)、思考にのめりこんでいると”心ここに在らず”になってしまうため、まずは意識して思考を観察する事、今している事に集中する事から始めて行きましょう。
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「いまに在るとは、どういうことか(5章)」
ここでいまに在るための一つの方法として「インナーボディを感じてみる」が出てきます。体を内側から感じてみる、全身を観察する事です。実際やってみると胸のあたりにとっかかり?みたいなものを感じ、普段は緊張していたんだなと分かりました。
体の内側を感じる事を習慣にすると、人生が加速度的に変化してきますという趣旨の記述もありますが、これが本当かは正直分かりません。自分の体験を言うと、今している作業に集中したり、思考や感情を観察したりするようにしてから集中力が上がり、無意識な行動が減ったのは実際感じますが、特段変わったかと言われると微妙です。
ただ、いまを全く大切にしていない人はおそらく人生も上手くいってないだろうなとはうすうす感じています。私の経験をまた話すと、昔電車に乗った時に自分含め周囲の乗客に悪口をぼそぼそ喋る人物が乗ってきて(勿論自分含め周りの乗客は何もしていない)、当時は「何だこいつ?」と思いましたが、多分あの人は古く固定化した思考に乗っ取られていて周囲が敵にしか見えていないんだろうなと今ならわかります(これと似たエピソードが同じ著者の本であるニューアースにも出てきたのでちょっとびっくりした)。
そのきっかけが学生時代のいじめや孤立していたのか、はたまた家庭や社会で虐待や無視でもされていたのかはその人にしか分かりませんが、1つだけはっきり言えるのは過去に囚われていると人生碌な事にならないという事です。こういう風に書いている自分も過去に囚われていたから分かりますが、自分を観察する、今に在るを知らなかった時代は周囲の事も全然見えていませんでした。そのため、いまに在る事で良い事がわんさか起きるかはともかく、少なくとも今を軽視して過去や未来に囚われて要らない苦しみを生み出す事は無くなります。
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